isosteinのブログ

しがないフリーランス翻訳家。考え事をしていることが多いです。内容が比較的濃いのはnoteに出しています https://note.com/isostein

大震災ボランティアでの思い出

東日本大震災の直後に岩手の盛岡に二ヶ月アパートを借り、週に二回ほどボランティアに行っていた。ゴールデンウィークまではボランティアが結構多そうだったので、ゴールデンウィーク開けにして、宮城よりも岩手の方が遠いから人手が足りないかと思って岩手にした。

当時、駅から毎日のように無料のボランティア用バスが出ていた。赤い羽根共同募金から資金が出ていると聞いた。バスが定員に達していなければ、登録して参加できた。

バスで被災地に行って、午前に2時間、午後に2時間、作業をした。作業のほとんどは瓦礫の撤去だった。田んぼに散らばっている瓦礫を端の方に持って行ったりとか。多少貢献できたのかなあとは思うけど、素人にできることは限られているので、無力さを感じることもあった。迷惑にならないように、とりあえず怪我をしないように気をつけていた。参加する人も本部の人も大部分は素人だから、効率は悪そうだった。

 

ある日、現地に着いた後、数人のグループに分けられて、マイクロバスで、瓦礫の撤去の要望が出ていた民家へと連れられて行った。本部の人は、「ここでお願いします」と言って去って行った。

普通は家の人が居て、指示を出してくれるのだが、まだ居なかった。見渡しても、瓦礫はほぼ無い。どこを片付けるんだろうね、と話し合っていると、そこにいるメンバーの誰かが、土に埋まってる瓦礫を掘って取り出し始めた。それを見て他の人も続いた。(土の上の瓦礫はほぼ片付いたから、これからは土に埋まってる瓦礫を片付けるってことか....)と思って掘り始めたが、小さい瓦礫を掘り出すのも結構な労力だと気づくと、絶望感に襲われた。(これは大変な作業だ....。きっと大量に埋まってるはずだ....。)

メンバーのほぼ全員が瓦礫を掘る作業をしていた。ただ、グループのリーダーのおじさんだけは、何かをひたすら移動していた。それって動かす必要あるのかな、とは思ったけど、誰かから指示があったのだろうと解釈していた。

 

そんな感じで、作業時間の半分以上が過ぎたころ、家の人が現れた。家の人は驚いた様子で、「あれ?昨日もうやってもらったけど」と言った。どうも本部の人のミスで、前日に瓦礫を片付けた場所に連れてこられたようだ(笑)。どうりで瓦礫が見当たらなかったわけだ。今から思えば、作業する前に、こちらから本部に確認すれば良かったんだけど、そのときはそういう発想が無かった。

そして、家の人は、リーダーのおじさんが移動したものを見て、「あ、それ移動しないで欲しかった。使うから。」と言った。なんと、おじさんは自分の判断で勝手にそれを移動していたのだった。おじさんは残りの時間で、移動したものを急いでひたすら元に戻すことで一日が終わった。

 

素人集団の無力さを感じた日だった。でもまあそんなことは、その一回だけだったけど。